南向きの窓から入ってくる陽射しは、 優しいというよりも、真夏の勢いを感じさせる鋭さだ。
最近書いた原稿のテーマのせいで、 ああ、この地球のどこかでオゾン層がパックリ口を開けていて、 紫外線を直接浴びた生物が、得体のしれん生物に変異してるのかもしれんのだよなあ、 なんていう妄想がふくらむ。
戦争しか口に出せない子どもがいる。 世界の王様気取り。 王様が嫌いなのに、ヘラヘラ笑ってかしずく家来がいる。 家来の下でせっせと働く奴隷がいる。 もう50年も経つのになあ。
さてはて、グルグルが終わりそうもないので、備忘録。 今度の引っ越しでお別れする本たち(文庫)をおさらい。 ------------------------------------ ●AV女優/永沢光雄(文芸春秋1999年) 女優42人の真っ正直な生き様を、著者の優しい視点から描き出す本文はもちろん素晴らしいが、文庫化あとがきがいい。「今村淳」という、45歳で亡くなられた文芸春秋の編集者との歩みを書いているのだが、一編のハードボイルド小説を読むような熱と感動がある。
●無敵のハンディキャップ/北島行徳(文芸春秋1999年) 上の「AV女優」あとがきに登場する今村淳氏が手掛けた本。映画はまだ観ていないけど、ともかく熱い! 健常者と身障者が対等であるとはどういうことなのか? その答えを障害者プロレスに見いだした北島氏。そのリングの上では、生きるってことはみっともなくブザマに闘い続けることなのだあっ、だああああっ的なイノキボンバイエとは違うリアルな叫びが響いています。元気の無いときに。
●夜のコント・冬のコント/筒井康隆(新潮社1995年) あんまりフィットしませんでした。スパイスが効いていないというか、そんな感じ。
●ポップアートのある部屋/村上龍(講談社1989年) 結局読まず終いで、今パラパラめくっても何の感慨も思い浮かばなかった。アメリカが汚れたからかな? 根本的に日本の風土にはポップアートが似合わないからかな?
●ソニー・勝利の法則〜小説「井深大と盛田昭夫」〜/大下英治(光文社1998年) 1992年に井深氏が文化勲章を受章したくだりから始まり、1997年に同じく井深氏が亡くなるくだりで幕を閉じるこの本は、ソニーの歴史はもちろんだけど、戦前戦後の日本史も垣間見れます。いや、いい本です。『東京通信工業』から『SONY』へ。ラテン語で"音"を意味する「SONUS」と、"かわいい坊や"を意味する「SONNY BOY」の造語。意味を背負わず、単純で楽天的な名前を戴いたことが、今日のソニーの発展につながるのだよな、なんて思います。 |
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