まずは何から話そうか。
…本当に話したいことを話そうとすると、思考はどんどん横道に逸れてしまって、気が付いたらその話したいことすら忘れていたりする。
それは夢から覚めた5分後の感覚に似ている。遠くに霞む夢の断片。目覚めた5分後、どれだけ意識を集中しても、その夢の風景と温度は60兆個ある細胞の奥深くにしまい込まれて取り出せない。またいつかの邂逅を待つのみだ。夢スケッチをしていた安部公房の気持ちがよく分かる。
ここ最近のこの混沌とした感覚は、いつもの精神失調から来ているだけかもしれないし、その原因は体調不良にあるのかもしれない。
でもやはり、先月の公演のことを自分なりに整理しないことには中々先に進めないんではないかと思う。村上春樹「ノルウェイの森」の書き出しにある『僕』の気持ちが多少なりとも分からないでもない。
音響は、もちろん多少のミスは犯したけど成功に終わったと思う。アンケートには「音響グッド」の言葉があったし、役者にも好評だった。客入れ客出し時間の音楽を毎回DJ的に雰囲気に合わせて変えたのも成功だった。
混乱の原因は成功とか失敗の話ではない。
…つまるところ、音響前と音響後では、自分の中の「何か」が変わってしまったように思うのだ。その「何か」を掴んで正体を確かめたいと思うんだけど、うまくいかないのだな。。。まるで二十歳前の何もよく分かってないガキンチョに戻ってしまったみたいだ。
まず、音楽への接し方が変わった。 好きなのは相変わらずなんだけど、音楽を映像や風景に結びつけたい欲求がかなり高まっている。そして、そういうアプローチで曲を作りたいと思っている。それはバンド熱の低下という点にも見られる。 ふむ。なるほど。ミイラ取りがミイラになったか。
仕事に意味を見出せなくなった。 まあ、前からそうなんだけど、より一層というか。芝居時の集中力と充実度、これはもちろんハレの世界だから日常と比べたってしょうがないんだけど、あまりにもくだらないというか。その割に無茶苦茶時間を取られているし。 ハレばっかり続いたら辛いってのも分かってるけど。
…さて、どうしようか。。。 何かを始めなくちゃならないんだろうな。 新しい何か。 |
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